AICFDは、FsTechが独自開発した汎用熱流体シミュレーションソフトウェアです。
モデルのインポート、メッシュ作成、シミュレーション、ポスト処理、インテリジェントアクセラレーション(AI機能)の5つにより、モデルの読み込みからシミュレーション結果処理までの解析プロセス全体をカバーしたインテリジェントツールとなります。
数値シミュレーションと独自開発アルゴリズムを通じて高性能なシミュレーション機能を提供すると共に、設計・シミュレーション・最適化を組み合わせた設計開発プロセスの確立を可能にすることで、製品開発の効率を大幅に向上させます。
1.統合シミュレーションプロセス
シミュレーションプロセスを統合したソフトウェア設計により、使いやすく分かりやすいワークフロー提供します。
ユーザーは、必要なパラメータの基本的な設定だけで、モデルのインポート、メッシュ作成、ソリューション設定、ポスト処理などの一連のシミュレーションプロセスを同一GUI上で自動的に完了することができます。
図1-4 インテークマニホールドの各シミュレーションプロセス
2.工業設計向け流体シミュレーション機能
工業設計で一般的に使用される流体シミュレーション機能を提供します。
シミュレーションには、単相非圧縮性流れ・単相圧縮性流れ(亜音速/遷音速/超音速流れ)・伝熱・混相流などがあり、複数領域の流れや熱をサポートします。
これにより、ターボ機械や熱交換器の流れといった複雑な産業シミュレーションに適用することができます。
AICFDは、一般的に使用される物理モデルだけでなく、ロバストな数値形式と境界条件を提供し、エネルギー/電力・海洋・航空宇宙・自動車の設計者の支援を行います。
図5-8 各流体シミュレーション
3.インテリジェントシミュレーション/リアルタイムシミュレーション
商用シミュレーションソフトウェアの解析に必要となる時間は比較的長く、一般的には数時間~数日、規模が大きい場合には数週間もかかる場合があります。
そこでAICFDは、AI技術の活用によりシミュレーションを高速化/結果予測することで、シミュレーションの効率を大幅に向上させることができます。
また特定モデルのシミュレーションでは、シミュレーションとAIの組み合わせにより、リアルタイムシミュレーションを実現します。
シミュレーション時間の短縮とリアルタイムシミュレーションにより、設計者が日常的に使用することができるツールとなります。
図9-10 インテリジェントシミュレーション/リアルタイムシミュレーション
4.ターボ機械専用モジュール
蒸気タービン・水力タービン・ポンプ・ファン・コンプレッサなどの動力機械を対象とした、ターボ機械専用のプリ処理ウィザード、アルゴリズム、ポスト処理を提供します。
図11-14 ターボ機械専用モジュールの機能例
1.軸流ファンの効率
対象はガイドベーンとロータの2つの部分で構成された軸流ファンモデルとなります。
ファンの流れ場の分布とファン効率を求めるにあたり、入口速度15.06[m/s]の条件でシミュレーションしています。
ファン内部の流れ場のシミュレーションは、ファンの性能改善にAICFDが活用可能であることを示しています。
図15-16 左: 形状データ、右: メッシュモデル
シミュレーション結果;
2.バッテリパックの流れ場温度の予測
電気自動車、携帯機器、蓄電装置など多岐に渡り電池パックが普及されている中、それらの性能向上の鍵はバッテリパックであることが多いです。
入口流速[10,30[m/s]]での計算サンプル10セットに基づいて、入口流速20[m/s]のときの内部流れ場と温度分布をAI機能により予測します。
予測結果は、実際のシミュレーション結果と比較しています。
図17-18 シミュレーション条件、AIサンプルシミュレーション画面
シミュレーション結果;
3.バルブの圧力損失
バルブの圧力損失シミュレーションは、CFDの代表ケースの1つです。
シミュレーションしたバルブには、多数の小さな減圧穴が含まれており、解の安定性・収束性・精度が必要です。
入口流速10.69[m/s]と出口静圧条件でシミュレーションします。
図19-20 左: 形状データ、右: メッシュモデル
シミュレーション結果;
4.車体の空力シミュレーション
外部流れ場の空力シミュレーションは、最新の車両設計において重要な役割を果たします。
モデリング比率を1:1とした中心対称モデルをシミュレーションに使用し、圧力分布と摩擦力を求めます。