軸流ファンの設計は、一般的に効率だけでなく騒音の低減も併せて考慮する必要があります。軸流ファンの騒音低減は、細部まで考慮するとかなり複雑で難しい問題ですが、標準的なブレードの設計においてファンの騒音を下げることができる簡単な幾何学的手法がいくつかあります。
パラメトリックモデリング・最適化ソフトウェアCAESESは、このようなあらゆる種類の形状や手法を実装するためのモデリングツールボックスを提供しており、シミュレーション駆動の最適化ループにおけるブレードジオメトリの生成を自動化します。この事例では、CAESESを活用した軸流ファンの騒音レベルと全体的な音響特性を改善について紹介します。
斜めのブレードチップは、動翼と静翼の相互作用を瞬時に低減するため、軸流ファンの騒音レベルを下げることができる幾何学的特徴のひとつです。基本的には、ブレードチップ領域の一部を切り取ります。自動化されたプロセスでさまざまな設計候補を作成するには、パラメトリックモデルとして、これらのさまざまなチップ特徴の形状や深さをCAESESにて制御する必要があります。
図1:斜めのブレードチップ
騒音低減のもうひとつの方法は後縁の一部を切り取り、負圧側と圧力側からの流れが互いに混合する形を変えることで2つの流れの遷移を改善することで、乱流パターンを変えることです。この処理により、効率向上と騒音低減が見込めます。また、鋸歯の形状、位置、鋸歯の数などの制御も可能です。
図2:後縁の鋸歯状化
斜めのブレードチップと後縁の鋸歯形状に対する最適な値を知るために、シミュレーションツール、特にCFD解析ソフトウェアを使用して設計の調査と最適化を実行します。このような多目的最適化計算では、ブレードの形状パラメータ(設計変数)は自動的に変更され、最適化戦略によって効率と騒音を改善する形状が探索されます。解析ツール自体もCAESESに接続することで、プロセスを自動化し、メッシュ作成と解析における手作業を削減します。
図3:最適化計算によるパレートフロンティア
CAESESは、CFD解析に使用する複雑な形状のために高度に自動化された設計用ツールです。ブレードモデリングに活用できる機能は他にもたくさんあります。CAESESはブラックボックスなツールではなく、最適化プロセスにおけるすべてのアイデアを迅速に検討することを可能にします。
図4:任意の表面特徴による流れ改善