バルブの設計と最適化

 バルブの設計最適化は多くの最適化対象の1つであり、CAESES®を用いて設計変更のプロセスを適切に自動化し、CFDソルバーで生成された実施ケース数の分析を行うことで、製品化までの時間を大幅に短縮すると共に、制約条件下での真の最適な設計を探索することが可能です。

 バルブは様々な通路を開いたり、閉じたり、部分的に塞いだりして、流体の流れを制御、誘導、または調整するデバイスです。開いたバルブでは、流体は高圧から低圧の方向に流れます。通常、バルブ最適化の主な目的は指定された圧力損失でバルブを通過する流量を調整することです。これは流れ係数として表現されることが多く、この係数は流れの効率の相対的な尺度であります。


事例:CAESES®とSimericsMP +によるバルブの最適化

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最適化スタディ用に選択されたデュプロマティックバルブ

 以下の説明ではCFDソルバーSimericsMP+とCAESES®を組み合わせてバルブ最適化のワークフローを実施した最適化研究についての説明となります。この研究の目的は、ソレノイドまたは油圧制御を備えたパイロット操作ディストリビューターであるDuplomatic Motion Solutions社の四方向スプールバルブでした。特にバルブにある2つのポート形状は、5barの圧力損失で最大流量を得るために最適化されました。最適化のためにバルブは固定されたスプール位置で計算され、ポートPおよびA(次の図では青色)のみをスプールポートのくぼみ(次の図では緑色)を介して接続しています。


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最適化に関与するバルブコンポーネント


形状変更の設定

 設計変更を行うポートは元のCADモデルから削除され、CAESES®でパラメトリックモデル化されたジオメトリパーツに置き換えました。検討した2つのポートそれぞれについて、9つの形状パラメータが、最適化の設計変数として用いられました。これらのパラメータはポート内部通路の様々な形状特徴を制御します。 次のアニメーションでは個々の設計変数を変更した際のジオメトリモデルの変化度合影響を示しています。

Cap Rotation   Box Rotation

        ボックス高さ                 ボックス回転   

      Box Shift Cap Height

           ボックスシフト                                       キャップ高さ 

  Cap Rotation   Cylinder Height

           キャップ回転              シリンダー高さ

Cone Angle    Outer Radius

              コーン角度                   外半径  

        Bottom Fillet

          底部フィレット


SimericsMP+との連携自動化

 SimericsMP+は生成した形状を計算するためCAESES®ソフトウェアに統合し、運用しました。形状データはSTL Extract Colors形式でエクスポートされ、CAESES®で一部のパーツに対して定義された各色は、個別のSTLファイルにエクスポートされます。これによりSimericsMP +は境界パッチを簡単に識別し、関連する設定(メッシュ設定や境界条件など)との関連付けを維持できるため、自動メッシュの作成フローが可能になります。解析設定はSimericsMP +ユーザーインターフェイスで1回だけ実行され、*.sproファイルに保存されます。このファイルはCAESES®によって各実行ケースで流用されます。

計算結果は流れデータを含むEnsight Goldファイルと、時間履歴を含むテキストファイルがCAESES®にインポートされ、テキストファイルは最適化の目的関数である流量を抽出するために使用されます。

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バルブ最適化プロセスにてSimericsMP +を統合したCAESES®ソフトウェアのセットアップ


最適化プロセスと結果

 全体的な最適化プロセスは3つのフェーズで構成しました。最初のステップでは、2つのポートの内、1つ(A)のポートに対して9つの設計変数全てを含むDoEを100のケース数として実行されました。これらの結果を用いて重要度が高い4つの設計変数を目的関数(ボックスの回転、ボックスのシフト、外側の半径、下部のフィレット半径)との相関が最も強い変数として選択し、2番目のステップで実行するDoEに用いました。ここでは選択した設計変数を両ポート(AとP)に適用し、90ケースを実行しました。最後のステップでは、実施したDoE結果による最適候補解を初期解とし、50ケースを追加探索し、ローカル最適探索を実行しました。

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バルブポートパラメータの感度図


 通常の設計と比較して、このプロセスの最後に最適化された設計では質量流量が約9%向上しました。具体的にはDoE検討時に7%、更なるローカル最適化で2%向上となります。厳密な制約条件ではありませんが、ポート自体の体積を監視し、実行した全てのケースにて制約条件を満たす解となりました。ナポリ大学の産業工学部で実施された実験テストにより、最適候補解の実測結果も確認しました。CAESES®を使用して探索した手順では数ヶ月から数日という作業時間短縮を実現しましたが、以前、設計を手動による反復手順で最適化した際に得られた同様の結果を得ることが出来たことも注目に値します。

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ベースライン(青)と最適化(赤)のバルブポート形状の比較


「CAESES®とSimericsMP+連携のスピードと効率には非常に感銘を受けました。形状変更とCFD検証を従来のアプローチを使用した場合と比較すると、同じ結果を得るにはおよそ10倍の時間がかかりました。」Michele Pavanetto – Technical Director, Duplomatic Motion Solutions