感度分析を用いたリアウィングの形状最適化

このケースでは、スポーツカーのリアウィングに対する抗力とダウンフォース(走行する自動車に発生する負の揚力)に関する最適化計算について紹介します。この最適化ケースでは、取得した随伴解を設計変数にマッピングし、計算が行われました。後部翼のパラメトリックモデルは、CAESES®で作成され、CFDで求めた流れに関する解を用いて、設計変数の性能指標の感度を計算するアジョイントソルバーには、OpenFOAM®をベースに開発された汎用CFDプログラムiconCFDが使用されました。

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リアウィングのパラメトリックモデルは、19の設計変数で構成されており、CAESES®上で直感的な形状制御できるように作成されました。制御曲線と設計変数を結ぶことで、曲線変形と形状変形が連動し、GUI上で制御を確認することができます。

 

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iconCFDなどのCFDツールによって提供されるアジョイントソルバーによる解析結果は、CAESES®で直接活用することができます。これらの結果は、ユーザー定義の設計変数に対して自動的にマッピングすることが可能であり、今回はリアウィングの設計変数に対してマッピングが行われました。このような手法は、CAESES®の感度計算よって実施されます。この手法を用いることで、最も重要な設計変数を簡単かつ迅速に見つけることができます。

 

CFD解析では、メッシュモデルが約18000000[cells]で構成されており、最初の解析には約7[h]かかりました。また、アジョイントソルバーによる実行には、約5[h]がかかり、両方とも64のCPUで解析が行われました。

 

 

計算後に抗力とダウンフォースに対して影響が大きいとされる設計変数の上位5つが、感度計算から求めることができました。そして19の内のほとんどの設計変数については、抗力とダウンフォースに対して影響が少ないことが判明しました。

 

この結果に基づいて、2つのモデルを取得することができました。1つは抗力についての最適化形状で、もう1つはダウンフォースを最適化した形状です。ダウンフォース最適化形状については、抗力においても非常に評価が高い値を示しており、総合的な最適化形状として扱われることとなりました。

 

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このようにCAESES®による最適化計算では、感度分析結果を用いて最適化形状を取得することが可能となっています。設計変数の多いパラメトリックモデルや複雑な形状を持つモデルに対して適切に用いることで解析業務の短縮や作業フローの効率化などの効果的なユーザー支援を行うことができます。