最適化計算ソフトウェアCAESESⓇと熱流体解析ソフトウェアCONVERGEは、形状最適化や設計変数の影響調査を目的とする連携最適化システムとして設計開発の現場でエンジニアのサポートを行っています。
この記事では、CONVERGEとの連携の際にCAESESⓇで有効に活用できる機能について、吸気ポートモデルやピストンモデルを用いて紹介していきます。
CONVERGE・・・メッシュ作成の自動化と高精度計算を可能にした熱流体解析ソフトウェア
CONVERGEのセットアップは、ジオメトリを構築する境界に割り当てられたそれぞれのIDを用いて行われます。
CAESESではユーザーは各境界のIDに色を割り当てることができ、モデリング中は設定した色で境界の識別が可能となっています。
(色の名前をInletやWallといったユーザー指定の境界名にすることも可能となります。)
モデリングが完了したジオメトリに設定した色に対して、ジオメトリのID(数値)を付与することができ、CONVERGEの設定ファイルに記載されたIDと簡単に整合させることができます。
これにより、自動最適化システムにおいても常に境界のIDは同じとなるため、追加の作業は必要ありません。
図1:CONVERGE設定ファイルとCAESESでのBoundary IDの整合
CAESESⓇでは、CONVERGEの拡張子である.datファイルに対するインポート機能があります。
.datファイル内のジオメトリにはそれぞれBoundary IDが割り当てられているため、CAESESⓇは自動的にIDに基づく色付けを行い、視覚的な境界の判別を容易にします。
図2:.datファイルのインポート
インポートしたジオメトリを用いてモデリングを行った際は、ユーザー定義の色付けによる境界の識別とインポート時の自動識別による色付けを活用することで、CAESESⓇ上の色とCONVERGE上のIDが常に紐づいている状態になります。
境界が多ければ多いほど手間になるこの作業は、.datファイルを直接インポートすることで大幅に作業量を減少させます。
図3:インポートした.datファイルによる色とIDの紐づけ
.datファイル読み込み時にポートには色付けがされており、インポートしたジオメトリの構成をツリー上で確認すると、IDが割り当てられていることを確認することができます。
CAESESⓇにて境界への色付けとIDの設定が完了したら、CONVERGE専用のエクスポート機能を用いてジオメトリを出力することが可能です。
エクスポートを行っている際は、ジオメトリの各法線ベクトルをソフトウェア内でチェックされ、外向きベクトルになっている場合には、すべての法線ベクトルが内側を指すように自動修正が行われます。
CAESESⓇでモデリングを行った後にユーザーは、trimesh(三角形で構成されたジオメトリ)とBRepを使用して、形状の三角形分割を制御することができます。
最大エッジ長(Max 3D Edge Length)などのオプションは、CONVERGEでの解析を行うためのメッシュ作成オプションとして設定可能となります。
これらの設定は、自動最適化計算中に設計候補となる各モデルに対して適用されます。
図4:三角形の分割コントロール
ケースによっては対象のピストン位置を修正したい場合もありますが、その場合にはtrimeshの三角形分割の制御を変えることなく、フル形状の一部を上下や別の位置に移動させることができます。
trimeshには、色付けされたすべての境界を平行移動する機能が追加されています。
図5:三角形分割を変更せずに色付けされたパッチを平行移動
CONVERGEの解析では、ピストンジオメトリを内部で上下に移動するケースがあるため、この機能は重要なものとなります。
三角形が交差することを回避するために、CAESESⓇにおいて通常は上死点でモデル化し、エクスポートする前に下死点に平行移動させます。
CAESESⓇでは、ピストンボウルとポートのモデリングに関するチュートリアルや、モデリングプロセスを高速化するための専用機能を用意しています。
専用機能の例として、吸気ポートなどのモデル間にフィレットを作成することが可能となっています。
以下のアニメーションは、フィレットを専用機能を用いて適用したものなります。
CAESESⓇはCONVERGEとの柔軟な連携のために、様々な機能を追加してきました。
これらの機能や基本機能を用いることでCONVERGEとの最適化計算は効率良く実施することが可能となり、開発設計業務をサポートすることができます。
CAESESとCONVERGEの連携については以下の記事より詳しく知ることができます。