インジェクターノズルの形状変形

はじめに


ディーゼルエンジンなどの最適化を行うにあたり、対象となる部品のひとつにインジェクターが挙げられます。この部品は、燃料が燃焼室に対して最適に噴射されるように向きや寸法が考慮されており、非常に洗礼されたものです。


本事例では、燃料噴射装置の既存のノズル形状を迅速に変形する手法を紹介します。STL形式でCAESESにインポートされた形状データをもとに、モーフィング機能を使用してインジェクターノズルに対する形状変形を実施します。


■使用ソフトウェア:CAESES


fuelinjector_00

図1:一般的なインジェクター形状


形状変形の手法


CAESESは、既存の形状に対してモーフィング(Free Form Deformation)を適用することが可能です。変形機能のひとつの手法として、ノズルの周囲にボックスを作成し、いくつかの拡張方法を定義することで、ノズルを拡大縮小する変形を加えることができます。もちろん、製造上の制約などを考慮する必要がありますが、モーフィングを初期段階では、できるだけフレキシブルに設定できるようにします。


Free form deformation of the nozzle

図2:モーフィング用のボックスとコントロールポイント


モーフィングによる変形ができることを確認したら、次のステップでは自動化プロセスに対応するために、拡大係数に関する設計変数を定義しました。


fuelinjector_outergrid

図3:コントロールポイントによる形状変形例


このノズルのセットアップが終わると、他のノズルにも適用させていきます。変形方法を定義した後は、技術的な要求や制約にしたがって、さらに少しずつ微調整を続けていきます。最終的には、形状変更・メッシュ作成・CFD解析の全工程を完全自動化したデザインスタディを実施するところまで行うことが可能です。


fuelinjector_inner

fuelinjector_middle

fuelinjector_outer

図4~6:拡大係数にもとづく設計探索の一部


CAESESに搭載された各種モーフィング機能は、CFDエンジニアの一般的なCAD機能をうまく補完します。同様のケースとして、インジェクターの完全なパラメトリックモデルを作成することも可能です。パラメトリックモデルの場合には、さらに形状の制御性が向上し、同時に変数の数を減らすことができます。


本事例は、CAESES®開発元のFRIENDSHIP SYSTEMSからの提供事例を日本語翻訳したものとなります。