エアフロートランスフォーマのパラメトリックモデリング


はじめに


2015年にVWが導入した排出ガス改善を目的としたエアフロートランスフォーマと呼ばれる装置は、世に出回る相当数のディーゼルエンジンに取り付けられました。

最適化ソフトウェアCAESES®の開発元であるFRIENDSHIP SYSTEMSは、この装置を知った際に最適化対象として興味深いとして、モデリングからシミュレーションまでを実施しました。


Flow Transformer for Improving Emissions

図1 エアフロートランスフォーマのモデルと解析結果の可視化


パラメトリックモデリング


エアフロートトランスフォーマのパラメトリックモデリングは30分ほどで完了しました。

装置自体は吸気量センサの近くに取り付けられるもので、グリッド形状となっています。


パラメトリックモデリングの設計変数には、グリッド線の本数、グリッド線の厚さ、グリッドの流れ方向長さ、の3つが定義されました。


caeses_model

図2 CAESESでのモデリング画面


vw_flow_transformer

図3 パラメトリックモデルの変形



動1 エアフロートランスフォーマのモデリング


CFDシミュレーション


CFDシミュレーションにはSTAR-CCM+が使用され、ワンクリックで新しい設計バリアントが簡単に確認できるようにしました。

装置に流入する流れを想定するため、エアフィルタ下流の乱流を模倣するために、いくつかの乱流パターンをテストしました。

その後、グリッド線の厚さとグリッドの流れ方向長さの設計変数をテストした後、グリッド線の数について調査を行いました。


もちろんここでの"グリッド"とは、CFDメッシュモデルのことではなく、エアフロートランスフォーマのことを指します。

以下の結果では、乱流特性(vorticity magnitude)を可視化した代表結果を紹介します。


overallview

図4 解析結果の可視化例


最小グリッド線の結果


最もグリッド線が少ないケースは、10本のグリッド線によるシミュレーションとなります。


Lrg mesh in front

図5 グリッド直前


Lrg mesh back

図6 グリッド直後


ミドルサイズグリッドの結果


最大と最小の間となるミドルサイズでは約20本のグリッド線でのシミュレーションとなります。


Mid mesh in front

図7 グリッド直前


Mid mesh back

図8 グリッド直後


最大グリッド線の結果


最大数は約40本のグリッド線となりますが、この装置に対しては多すぎる可能性があります。


Fin mesh in front

図9 グリッド直前


Fin mesh back

図10 グリッド直後


まとめ


実際の装置はこの記事の内容よりもはるかに複雑であることは間違いありません。

しかし、このようなアプリケーションや解析事例についてもCAESESが対応できることを確認することができました。

CAESESでは、あらゆるユーザーがやってみたいと考えることや頭に潜めていたアイデアを、モデリングと最適化を通して実現させることが可能であると我々は考えています。