電池パックは現在、電気自動車やスマートフォン、電力貯蔵技術などに広く使用されており、このようなシステムでは電池パックの性能向上が製品改善の鍵となるケースが多くあります。
本記事では、汎用熱流体解析ソフトウェアAICFDを用いて、ヒートシンクの代わりに多孔質媒体モデルを使用した電池モジュールの放熱と空冷効果を解析し、同条件における他商用ソルバの結果を参考として比較しました。
解析条件は、入口流速5[m/s]と出口静圧0[Pa]となっており、ヒートシンクのフィンについては多孔質媒体として定義されています。
図:解析モデル
図:メッシュモデル
下記のグラフは、AICFDと参考結果の解析に必要となった時間を比較したグラフになります。
AICFDは、参考結果に対して約17%の解析時間削減を実現しています。
図:計算時間の比較
下記は、AICFDと参考結果の温度コンター図の比較になります。
表面温度コンタ(レンジ同一) | |
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AICFD | 参考結果 |
中心断面温度コンタ(レンジ同一) | |
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AICFD | 参考結果 |
各位置での温度分布の平均温度の比較グラフが下記となります。
解析評価の対象となる各部での平均温度は、AICFDと参考結果は同一の結果となりました。
図:各平均温度の比較
AICFDと従来の商用ソフトウェア(参考結果)の解析結果に焦点を当て、両者の比較を実施したことにより、解析結果の一致性と解析時間の効率性について、重要な結果を取得することができました。
AICFDと商用ソフトウェアの解析結果が高い一致度を示したことで、ソフトウェア間での結果の違いは極めてわずかであり、どちらの選択肢も信頼性のある解析結果を提供することが確認できます。
さらに、AICFDのソルバは解析時間の短縮を実現することができ、複雑な問題に対する高速解析の提供と効率的な解析業務のサポートを可能にします。
この比較から、AICFDは高度な解析精度を維持しながら、効率的な解析時間を提供することが明らかとなり、産業界における競争激化と時間の制約を考慮すると、解析ツールの新たな選択肢としてユーザーを支援することが可能です。