【AICFD】空冷モータの放熱解析

現代の工業界において、モータはあらゆる産業分野で不可欠な動力源として利用されています。

モータの正常な運転を維持するためには、過熱を防ぐことが非常に重要であり、特に空冷モータの場合、適切な放熱設計は信頼性と性能に直結します。

熱流体解析ソフトウェアAICFDは、このような課題に対応し、最適な熱設計を実現するためのツールとして、簡単な操作性と効率的なデータ取得を提供します。


本記事では、空冷モータの放熱シミュレーションをAICFDにより実行し、解析結果の検証を行いました。



解析ケースについて


使用するモデルは1/8周期モデルとなり、4つの入口と1つの出口で構成されています。


回転数:680 [rpm]

入口流量:15000 [m^3/h]

入口温度:45 [°C]


1.png

四面体要素、メッシュ数:601万


使用された各材料物性を下記の表に示します。


材料
密度[kg/m3]熱伝導率[w/m*k]比熱容量[J/kg*k]
銅巻線8933380385
永久磁石
75008.96465
ケイ素鋼板7850軸方向4.3460
径方向40
切断方向40
絶縁13800.291090
構造部品785044480
空気1.110.0291004.4




放熱量Total[kW]
巻線上部
32.40627
巻線下部15.57627
巻線端部28.04746
鉄芯歯36.22338
鉄芯ヨーク24.20662
電磁鋼の損失6.69
回転部ヨーク損失0.01
磁極ボックス2.7

145.86




解析結果について


シミュレーション結果の各温度分布を下記に示します。


参考結果はすでに評価が完了しているデータとなり、変数レンジは同一としています。


2.png3.png
4.png5.png
6.png7.png
8.png9.png



各パートの最大温度と最小温度の比較を下記に示します。



最大温度[℃]
最小温度[℃]
パートAICFD参考結果偏差AICFD参考結果偏差
全体モデル71.81
67.274.5444.8544.850
回転部
54.8754.170.744.9345.24-0.31
静止部71.8166.135.6844.8544.850
静止部プレッシャープレート67.165.771.3353.9352.741.19
回転部プレッシャープレート52.1951.570.6244.9347.94-3.01
回転部ブラケット54.7953.920.8746.0445.730.31
静子部ブラケット57.4155.831.5845.645.540.06
ガスケット60.0258.721.350.0849.770.31
スペーサ68.1667.270.8945.9346.01-0.08
磁極57.2256.40.8247.7348.16-0.43
巻線端部71.8166.135.6853.7957.73-3.94
巻線上部67.2566.530.7258.8158.410.4
巻線下部67.1565.681.4757.1456.630.51



まとめ


AICFDを用いた空冷モータの放熱シミュレーションにおいて、モータの放熱設計における重要ポイントの特定と設計サポートの有効性を確認しました。


評価済みの参考結果と比較して、最大で5%程度の偏差であり、AICFDの解析精度は非常に高いと考えられます。


この精度の高さは、モータの過熱を防ぎ、性能を向上させるための設計決定において、AICFDが有効であることを証明しています。