VOITHリニアジェットの設計と最適化

複雑な形状特徴、複数の部品の組み合わせ、大規模なCFD計算モデル等、難易度の高い船舶システムであるVOITH社のリニアジェット設計はCAESES®を用いた完全自動設計システムを構築し、運用することで顧客満足度の高い製品を提供しています。

VOITHリニアジェット(VLJ)は、プロペラのシンプルさとウォータージェットの高速性能という特性を兼ね備えています。本製品の設計ではキャビテーションの発生を遅らせながら、広い動作範囲にわたって高い効率を維持することが最も重要な課題の1つです。

特に、VLJには次のような大きな利点があります。
船舶の速度範囲全体にわたり高い効率を維持
●キャビテーションが減少し、騒音と振動を低減
●ヨット、ワークボート、パトロール船のような低速と高速を組み合わせたような運転状態に理想的な推進機
●VOITH Turboは、CAESES®を主なツールとし、トンネルおよび船体形状ならびにローター/ステータの形状を設計する完全なVLJシステムを構築しました。
 




VOITH Linear Jet propulsion arrangement


VOITHリニアジェットの統合
VLJ船体の最適化は、複数のCAESES®ジオメトリモデルによって実現されます。下の図を参照してください。顧客要求を満たす最良の形状を見つけるために、幾何学的設計変数(トンネルの長さなど)を 含めた数値計算をベースとし、自動ワークフローを構築して運用しています。設計変数は自動で探索され
、ローター、ステータ、ノズル等の複数の部位が同時に形状変更されます。  

CAESES geometry model of the VOITH Linear Jet tunnel system

CAESES® VLJ船体を設計する統合プラットフォームにおける幾何学的な設計変数  

VOITHリニアジェットの回転子と固定子の幾何学的な設計変数
典型的な設計変数は、弦長、厚さ、キャンバー、スキュー角、ピッチ角、レーキ角の半径方向分布です。ブロック構造のメッシュ生成処理に対応したジオメトリを出力します。

Parametric support geometry for automated block-structured meshing of the blades


自動ブロック構造メッシュ作成のためのパラメトリックジオメトリ


表面メッシュ作成時には前縁、後縁、ノズル間のギャップのように重要な箇所にメッシュ密度を高くするような分布を定義しています。 

Blade mesh for the rotor and stator (structured hexahedron approach)


ロータとステータのメッシュ(構造格子:6面体)

Fully automated grid generation of the entire VOITH Linear Jet system

VOITHリニアジェットシステム全体の非構造メッシュ(ポリヘドラル)


ブレード、ノズル、船体、トンネルの設計変数は、CAESES®に組み込まれている最適化アルゴリズムを用いて自動探索を行います。シミュレーションはVOITH Turboの内部HPCシステムで実行しています。



VOITH Linear Jet: Systematic investigation of integration depth and shaft inclination VOITHリニアジェット:CAESES®における深さ位置変更とシャフト傾斜の設計探索 



VOITH Turboは、膨大な演算能力に加えて、今回紹介した可変かつロバストな設計変更を可能とする自動設計プロセスにより、さまざまなVLJシステムを大規模に探索することで最終的に顧客にとって最良の設計候補を選ぶことができます。