潮力発電用タービンの形状最適化


このケースでは、潮力発電用タービンの最適化計算について紹介します。


フランス沿岸沖の潮流には世界最大の潮力発電所があります。2[MW]の出力を持つ4つのタービンで構成された発電施設では、最大で4,000世帯に電力を供給できるほどの規模を持っており、世界初の大規模なグリッド接続された潮力発電所となっています。メリットとしては、環境への悪影響が少なく、海洋生物にとって安全であるということです。


潮力発電用タービンは、直径約16mで水深約35mの位置で動作するように構成させています。潮流は主に双方向であるため、タービンは両方向に回転するように設計されており、ブレードは対称形状になっています。今回の最適化ケースでは、直径,ブレード数など合計19の設計変数で構成されており、目的関数は広範囲でのタービンの最大効率を実現することです。

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評価項目としては、推力,トルク,効率となっており、最大の目的は広範囲でのタービン効率です。構造上の理由から、推力は二次的な目的として評価対象となっています。境界条件には、入口が流速条件で出口が圧力条件となっています。解析領域の壁はSlip Wallを選択しました。

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CAESES®によるパラメトリックモデリング作成が行われました。

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このケースではCFDソフトウェアにSTAR-CCM+を使用するために、CAESES®STAR-CCM+が接続されました。

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最大効率に最も近い設計変数にフォーカスして最適化計算を行います。まずは19の設計変数から最適な候補を特定し、性能曲線により評価しました。これらの最適化計算には、実験計画法,応答曲面モデリング,遺伝的アルゴリズム,局所探索法が用いられ、700以上の設計がテストされました。

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最適化計算後の結果として、タービン効率は主な動作条件の範囲において大幅に改善されました。タービン効率とトルクが共にベースライン形状に対して向上しているのが確認できます。このケースでは、modeFRONTIERとSTAR-CCM+とCAESES®を用いて効率的に最適形状を取得することできました。CAESES®に搭載されている様々な最適化アルゴリズムは、ケースに応じて柔軟に取り扱うことで、迅速な最適形状の取得を可能とします。


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