CAESESⓇのバージョンアップによる機能拡張や外部の解析ソフトウェアの発展により最適化手法は、一定数に留まることはなく、常に新しい手法が検討されています。
そもそもCAESESⓇのような最適化ソフトウェアと利用している解析ソフトウェアとの連携がイメージできない方もいるかと思います。
そこでこの記事では、数あるCAESESⓇを用いた船型最適化手法の中から実際に利用されているケースを2つ紹介します。
最適化計算による最適候補解の取得は、設計開発のおいて構想のはじまりや製品改善の一歩目となる重要なステップです。
持っているアイデアやソフトウェアによって、CAESESⓇの有効性も変わってくるので、参考にしてもらえると幸いです。
今回紹介する最適化手法
1.ドイツの造船会社「ティッセルクルップ・マリン・システムズ社」
2.スコットランドの総合大学「ストラスクライド大学」
①Parametric modeling:パラメトリックモデリング
CAESESⓇのモデリング機能を使用して、最適化計算のベースとなる船体や船体に付属するパーツのモデリングを行います。
②Optimization(potential flow):ポテンシャル流れ解析での最適化
ポテンシャル流れ解析によるCAESESⓇとの連携計算を行います。
最終的な条件での解析の前に理想流体での計算にて最適候補解や設計空間の特長を取得します。
③RANSE simulations
取得した最適候補解のもと、RANSE解析を実施します。
ここでの結果評価に応じて次のステップの最適化計算に進むことを判断します。
④Optimization
最適候補解のもとさらなる最適化計算を行います。
ここでの最適化計算では多目的アルゴリズムを使用した解析を行い、さらなる最適候補解を取得します。
このような一連の流れで最適候補解を取得し、設計開発業務の効率化を図っています。
最適化計算では設計変数の影響調査やアルゴリズムの検討などの作業が必要となりますが、ティッセルクルップ・マリン・システムズは計算前に仮説を立てておくことで、計算後の結果評価と目的関数のトレードオフ検討を迅速に行います。
CAESESⓇで作成したベースモデル
最適化計算により取得した付属パーツ形状
①CAD geometry
CAESESⓇのモデリング機能を用いてジオメトリを作成します。
②Hydrostatics
船舶向け3次元設計ソフトウェア「MAXSURF Stability」によるハイドロ計算を実施します。
③CFD pre-processing
②の結果形状をもとに解析領域の作成といったプリ処理をCAESESを用いて行います。
④CFD simulation
実際の解析については、「STAR-CCM+®」で実行します。
⑤CFD post-processing
ポスト処理はCAESESⓇのfeature機能などを用いて行います。
一度作成したポスト処理機能は、プログラムのように後の解析においても使用が可能です。
ストラスクライド大学ではこのような作業フローを用いて、より良い船型の研究を実施してきました。
また、概念設計のような新たなコンセプトの船型の研究もCAESESⓇを使用しており、極限環境下を想定したCFD解析のプリ-ポスト処理にも活用しています。
CAESESⓇで作成した船型モデル
通常状態と極限状態のCFD解析結果の比較
今回は、代表的な2つのCAESESを用いたケースを紹介しました。
CAESESⓇに搭載された最適化アルゴリズムを用いた計算を行うのか、CAESESの多彩な機能を活かしてモデリング/プリ/ポストに活用するのか、といった用途は様々であり、ユーザーの状況に合わせた活用が可能となっています。
CAESES®の詳細については、info@fstech.jp までご連絡下さい。