【DTEmpower】船体線図のインテリジェント設計

はじめに


汎用データ分析・モデリングソフトウェアDTEmpowerを用いて、船体線図のデータ駆動型設計を実施します。船体線図の設計は船舶設計における重要な内容であり、船舶の技術性能と経済性に重大な影響を及ぼします。従来の船形設計手法は手作業設計であり、CADによる補助設計とCFDによる技術評価の開発過程を経て行われていますが、より効率的かつ知能性なワークフローの構築ができると考えられてきました。データに基づくインテリジェントな設計最適化プラットフォームを活用することで、性能指標をターゲットに、「最適な」設計を効率的かつ迅速に見つけることができます。


これまで問題とこれからの挑戦


1.CADベースの船型設計手法は設計者の経験に大きく依存するとともに、複数回の試験や検証が必要であるため人件費が高い


2.設計案の評価にCFDを導入すると、人件費の削減には繋がるが、単一設計案の評価時間が長くなるため自動化能力が低い


3.CFDを代理モデルに置き換えることで、最適化設計スキームは設計サイクルの大幅な短縮を実現(代理モデルの精度は設計スキームの最終的な効果を左右します。)


ソリューションについて


従来の船型設計手法では、評価にかかる時間が長いことなどのコスト面が大きな問題となります。ここでは設計統合プラットフォームと代理モデルに基づく最適化設計手法を採用することで、設計の効率的化と知能化を図ります。代理モデルの精度向上においては、HDDV高次元可視化、HierarchicalStratify階層分類、ROD異常点クリーニング、AIAgentインテリジェントトレーニングアルゴリズムなどが採用され、船体線図のインテリジェント設計を支援します。現在、これらのコア技術は、DTEmpowerに機能として統合されています。


ワークフロー.png

図1:船体線図のインテリジェント設計ソリューション


① パラメータモデリングツールを用いてベースモデルの幾何学的特徴を抽出し、CFD解析を用いてデータモデリング用のデータセットを取得します。


② CFD解析の実行速度の制限により、生成されるデータセットのサイズは一般的に小規模のため、データモデル精度に影響を与える可能性があります。そのため、DTEmpowerに統合されているHDDV高次元可視化、HierarchicalStratify階層分類、ROD異常点クリーニング、AIAgentインテリジェントトレーニングアルゴリズムなどのコアテクノロジーに基づく代理モデル精度を向上させる一連の強化スキームが提案されます。


③ 関連する船型設計データセットによるAIAgentを用いたデータモデリング結果は、一般的なオープンソーストレーニングアルゴリズムに比べて効果的です。モデルのR2指標は、一般的なアルゴリズムが83%であることに対して、AIAgentは94%です。


④ CFD解析ツールを代理モデルに置き換えることで、個々の設計案の評価時間が時間レベルから秒レベルに短縮され、大量の設計案に基づくインテリジェントな最適化の基盤となります。また、統合プラットフォームによる船型設計の自動化も実現します。


応用利点


船型設計サイクルの短縮による、設計効率の向上

代理モデルに基づいた最適化設計手法により、比較的短時間で数万種類の設計案を評価および最適化することができます。また、インテリジェントな最適化アルゴリズムを使用することで、より優れた設計案の探索が可能となります。


船型設計にかかるコスト削減

従来の船型設計手法は、設計者の経験に依存傾向であることに加え、複数回の試験による検証が必要となります。すべてのプロセスが自動化された設計プラットフォームは、比較的短時間で最適な設計案を見つけることができ、試験回数の削減に繋がります。これにより、設計プロセスにおけるコストが大幅に節約されることが考えられます。


最適設計の流れ.png

図2:代理モデルによる最適化設計の利点