航空機エンジン用コンプレッサーブレードの最適化

航空機エンジンメーカーは,排気ガスや燃料消費量の削減という厳しい要求を満たすために日々製品開発に取り組んでいますこの取り組みには、空力的に優れたコンプレッサの設計を効率よく行うために、設計プロセスのさらなる改善が求められています。近年、グローバルな設計・性能要件を満たす最適なブレード形状を高効率で開発するためには、形状作成ツールと流体解析ツールという異なるソフトウェア間で多くの反復計算が必要となるのです。




今回紹介するケースは、CAESES®の開発元であるFRIENDSHIP SYSTEMS社とRolls Royce Deutschland(RRD)社との共同開発による軸流コンプレッサーブレードの最適化についてです。

このプロジェクトには以下のような課題がありました。


1.最小損失での要求される旋回流れ羽根荷重の実現

2.動作範囲の拡張

 

最適化手法

このプロジェクトでは、最終的な結果比較を行うため、2つの異なる最適化手法を用いました。


・RRD社

2D断面形状による最適化計算を行い、その最も最適とされた断面形状を基に3Dモデルを作成

・FRIENDSHIP

パラメトリックなブレードモデルを設計し、その半径方向の分布を製造プロセスの観点から制約条件を設けることで、実現可能なデザインのみが作成されるように構成しました。


最適化計算の結果

2つの手法を使用した今回のプロジェクトでは、どちらの手法も非常に似た結果を導き出しましたが、パラメトリックな3Dブレードモデルと組み合わせ最適化による計算では、非常に短い時間で結果を取得することができました。最適化計算の最終的な結果は以下になります。


1.0.25%の損失低減

2.流路角1.5度の動作範囲の拡張

3.数週間かかっていた設計期間を1~5日に短縮


Blade Comparison


このケースから分かるように、空力形状の最適設計のためのコンプレッサーブレードは、CAESES®で適切なモデル作成をすることができ、CFDソフトウェアとの接続による効率的な設計を実施することができます。また、CAESES®では多種多様なタイプのブレード作成することが可能であり、形状のカスタマイズを簡単に行うことができます。モデル形状に対しては、周期的なCFD解析領域や自動メッシングに対応するための固定パッチやカラーパッチによるサーフェス情報の追加を行うことができ、あらゆる解析ソフトウェアとの連携が可能です。このようにCAESES®を用いた最適化システムは設計効率と製品性能の向上を実現し、ユーザーを全力でサポートします。


Stator optimization