高層建築物のCFDシミュレーション

TCFD tutorial Burj Al Arab interface

 

このケースでは、高層建築物に対する風荷重を評価するために、TCAE®を用いたCFDシミュレーションを実施しました。TCAE®は幅広い産業に対応するよう設計がされており、今回は一般的な構造物に発生する風の負荷を調査することが目的となっています。この解析の対象となったのは、ドバイにある世界で7番目の建築高さ(2019年時)を誇る高級ホテル「Burj Al Arab」です。建築物としての形状は船の帆をイメージしてデザインされており、地上210mの高さにヘリポートがあります。今回のシミュレーションにおいては、風速25[m/s]かつ、風は海側から対称的に建物へ向かってくると想定されました。


TCFD tutorial Burj Al Arab interface 

図2:TCAE®のGUI


TCAE®では解析モデルの設定はすべて同一GUI上で行います。GUIはParaViewをベースに開発されており、Paraviewの多様な機能を活用することができます。解析モデルの構築はGUI上で行い、計算自体はクラスタで実行するといった解析手順も可能であり、解析環境や計算リソース合わせて効率的に使用することが可能です。 メッシュモデルは、メッシュ作成モジュールTMESHにより作成されました。TCAE®では、計算のみならずメッシュ作成についても並列数を設定することができます。


TCFD Burj Al Arab tutorial mesh snappyHexMesh mesh

図3:メッシュモデル


CFDシミュレーションのセットアップ

・非圧縮性

・定常計算

・作動流体:空気

・粘性:1.5e-5[m2/s]

・乱流モデル:k-ω SST

・セル数:5,000,000

・CPU時間:66[core.hours]


シミュレーション開始後はForceや残差,任意の変数をモニタリングして収束に関する判定を行いました。シミュレーション終了後は自動で出力されたHTMLレポートより詳細な結果を確認します。またそのままGUI上でコンター図やベクトル図による結果評価を実施することができます。


CFD Burj Al Arab run time convergence forces acting on the building surface

図4:IterationごとのForce X,Y,Z

CFD Burj Al Arab run time residual convergence segment

図5:残差グラフ


ParaView Contour Pressure Burj Al Arab Tutorial

図6:流線図


TCAE®は空力特性や風荷重といった外部から受ける力を評価することも可能であり、ライセンス無制限というメリットを生かすことであらゆる解析を効率的に進めることができます。