汎用データ分析・モデリングソフトウェアDTEmpowerを用いて、再生利用可能な宇宙船壁構造のデータ駆動型強度評価を実施します。再利用可能な宇宙船は、宇宙と地上間の輸送を実現するための非常に重要なツールであり、典型的な耐荷重部品としての壁構造の支持力評価は、宇宙船全体の安全性能に大きく関係しています。しかし、従来の有限要素法では、強化された筒型外装の座屈解析1回で100分以上の計算時間がかかることが多く、コストが高くなりやすいという問題がありました。そのため、DTEmpowerを活用したシミュレーションデータをベースとしたデータモデリングにより、短時間で構造評価を行うことが可能となる高精度のデータモデルを構築します。
このケースで使用されたデータは、低忠実度500セット(メッシュ数が少ないシミュレーション結果)と高忠実度100セット(メッシュ数が多いシミュレーション結果)となります。また、入力変数には壁板直径、高さ、繊維角度などの7個の変数、出力変数には機械的応答(応力)が定義されます。
図1:宇宙船構造
データトレーニングアルゴリズムに基づき、データモデルの精度と実装コストを考慮して、メッシュ数が多い解析サンプル(高忠実度)とメッシュ数が少ない解析サンプル(低忠実度)を組み合わせてトレーニングを行います。結果としてDTEmpowerで作成したデータモデルの評価精度は96.5%であり、入力変数に基づく出力変数の評価にかかる時間はわずか0.1秒となります。他社製品を同条件で使用した場合と比較することで、より高い精度(R2は5.26%の改善)と時間短縮(1日vs数日)が見込めることが判明しました。
図2:データセットごとのモデル精度
表1:他社製品とのモデル精度比較